コラム

新入社員が思う「伝える」

製造部

 みなさん、こんにちは
 私は10月に入社した新人です。入社する前は職業訓練校に通ってDTPの勉強をしていました。1か月たったいまでも勉強は欠かせません。
 私が訓練校にいたときによく参考にしていた本「DTP&印刷スーパーしくみ事典2018」をお昼休みなど空いている時間に読んでいます。パソコン、ソフトウェア、デザインの工程、インキや印刷物のテクノロジーなどDTPと印刷業界全体を解説しています。
 以前は流し読みしていた箇所も今では「なるほど」とうなずきながら読めるようになってきました。
 その中で「文字と言葉」という項目がありました。

「私たちは文字を読むと、そこから意味を受け取っている気持ちになる。
しかしよく考えてみよう。
 意味がすでにそこに存在し、文字を読むことでその見えない意味を受け取っているのだとしたら、これは超常現象であろう。
 本当にこの超常現象があるとすると、私たちは文字を媒介にして見えない意味を受け渡していることになる。」

 考え込んでしまいましたがおそらく、いま読んでいる文章も本にただ文字が並んでいて、それを私たちは目で追っているだけで、意味の受け渡しは行われていない、ということでしょうか。
 文章は続きます。

「この世界観は天動説と同じ素朴な感覚に基いている。読む側がその世界観でいることになにも問題はない。
 しかし、読ませる側はこの同じ世界観の中で文字を組んではならない。」

自分の感覚や認識は自分の中であれば成り立ちますが、不特定多数へ表現する場合それではいけないということだと私は考えました。

「言葉の意味は超常現象ではない。
 意味は、伝わるのではなく、読む人がそのつど自分で生み出しているのだ。
 文字組版の役割のひとつは、読む人がその意味を適切に生み出せるようにすることである。」

意味は、伝わるのではなく、読む人がそのつど自分で生み出しているのだ。この文になるほど、と思いました。
 この文章を読みながら今まさに私は意味を自分の頭で生み出していたのです。
 伝えるという行為は相手が理解して初めて達成されるものであり一方的に伝えたといっても意味はありません。
 分かってしまえば当たり前なのですが文字組版に関わらずコミュニケーションにも通用する考えだともいます。
 印刷物と言う伝達媒体にかかわる私はこの考えを常に意識していきたいです。
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