コラム
100年の感謝を込めて
代表取締役 萩原 誠
4月、5月にかけて、創業100周年のご挨拶のため、長年お世話になっている多くのお客様を訪問いたしました。その際には、お祝いのお言葉に加え、美しいお花や記念品を数多く頂戴し、社内はしばらくの間、蘭の花々に囲まれた特別な空間となりました。この場をお借りして、あらためて深く御礼申し上げます。
お忙しい中、各社の皆様にはご丁寧にご対応いただき、各社の社長様や役員の皆様と直接お話しする機会にも恵まれました。どの訪問も、当社の歴史と現在をあらためて見つめ直す、大変意義深い時間となりました。
光文社の巴社長には、当社のこれまでの取り組みについて深い関心を寄せていただき、時間をかけてじっくりと話を聞いてくださいました。出版や印刷の在り方について共感できる点も多く、大変有意義な訪問となりました。
また、小学館の相賀社長とは、祖父の時代に印刷を手がけたサン=テグジュペリの『夜間飛行』、そして近年、光文社の古典新訳文庫で当社が再び印刷を担当した話題になりました。相賀社長は、旧訳も新訳も読まれており、「旧訳には時代の趣があり、新訳は現代的で読みやすく、どちらもそれぞれの魅力がある」とのお言葉をいただきました。
文藝春秋の飯窪社長からは、祖父の時代にお取引のあった第一書房のその後についてなど、出版業界の歴史に関する貴重なお話を伺うことができ、大変勉強になりました。
このように、さまざまな方々から頂いたお言葉や対話の中に、100年の重みと意義をあらためて感じることができました。
そして、この100年を支えてくださった最大の力は、社員の皆さん一人ひとりの存在です。
どの時代でも、社長は会社の方針を立て、目標を掲げますが、それを日々の現場で実行し、結果を出してくださるのは社員の皆さんです。ときには困難な課題に直面することもあったかと思いますが、それを一つずつ乗り越えてくださったことに、心からの敬意と感謝を申し上げます。
また、100周年記念誌『萩原印刷100年物語』の制作にあたっては、多くの方々のご協力をいただきました。
花園大学の浅子逸男名誉教授には、祖父の時代の出版活動や、当時刊行された書籍に関する貴重な知見を惜しみなくご提供いただきました。浅子先生とご縁をいただかなければ、これだけ多くの資料や書影を集めることはできなかったと思います。
そのご縁から、堀口大學先生のお孫様である堀口すみれ子様ともつながり、心温まる寄稿文を頂戴することもできました。
編集を統括してくださった近藤美由紀さんには、限られた時間の中で資料整理から時代背景の検証まで丁寧に対応していただき、何度もご来社いただきながら、真摯に編集作業を進めていただきました。
また、デザイナーの平塚さんには、100周年にふさわしい気品あるデザインで本誌を彩っていただきました。
さらに、写真撮影や資料整理など事務作業に携わってくれた社内の皆さん、記念サイトを制作してくれたクロスメディア部にも、心より感謝を申し上げます。
100周年事業はまだ継続中ですが、これまでの歩みを多くの方々に支えていただいていることを、あらためて実感する日々です。このコラムは、そんな皆さまへの感謝の気持ちを、社員の皆さんと共有したく綴りました。
これからも、皆さんと共に次の10年、そして次の100年に向けて、一歩一歩進んでいきたいと思います。引き続きのご協力を、どうぞよろしくお願いいたします。