コラム

2つのニュース

総務部

 6月私は2つの事故のニュースにとても象徴的なものを感じました。
 1つ目は南米のコロンビアの飛行機事故です。
 13歳の女の子を始めとし1歳の赤ちゃんを含めた4人の兄弟姉妹が40日間、自分たちだけで生き延びたというニュースがありました。墜落は5月1日でした。兄妹の母親や操縦士、大人は亡くなってしまったということで、子供たちの捜索の様子がニュースで流れ続けていました。そして40日後にようやく発見されました。
 ケガもそれほどなかった子供たちですが、どうやって40日もの間、子供たちだけで生きていたのでしょうか。最初は飛行機に積まれていたキャッサバ(イモ類)という粉を食べていたようですが、それも無くなり、ジャングルの中で果物や木の実など食べられるものを探して飢えをしのいでいたのですね。熱帯林の大きな木の葉っぱでシェルターを作り、身を守ったということでした。
 赤ちゃんのミルクもしばらくはあったようですが、それもなくなると水を与えていたとのことでした。
 この事故は命の力、活きる力を考えるいい機会となりました。彼らはアマゾンの「ウイトト族」という先住民族の子供たちです。
 ジャングルの中の食べられる植物に関しての知識があったのです。そして獰猛な猛獣(豹やトラ、蛇?)などから、またゲリラから身を隠したり、守ったりする術を身に着けていたとのことです。4,5歳のころから生活の中で親や周りの大人たちが教えていた、ということだそうです。主に13歳の長女の力が大きかったと報道していました。
 もし私たちがこのような事故に会ったら、生き延びることができたでしょうか?あたりまえのように食べ物がある、便利なものがある、あると言うより、溢れている世界に暮らしている私たちであれば、どうであったのだろうか、と考えてしまいます。携帯電話の電波も届かない場所です。
 13歳の少女は命を懸けて兄弟の命を守ったということですね。死ぬか生きるかの瀬戸際に立たされた少女のどこにこういう強さがあったのだろうかと思います。何としても自分や兄弟の命を守るという強い思いで、事に当たったのだと思います。生きる力が総動員されたということですね。
 そして先住民族の子として生まれ、生まれた時から自然の一部としての生き方を身に着けてきた、自然にあらがう事のない、生き方をしている人々であったからこそ、子供たちでも40日も生き延びることができたのではないか、そう思った次第です。もともと人間の祖先は長い間、森で生きていた、ということですね。人間も自然の一部である、という生き方ですね。

 そしてもう一つの事故、コロンビアの事故とは対照的な事故がありました。この事故では誰も生きて戻ることは出来なかったんですね。こちらは1912年に北大西洋に沈んだタイタニック号を潜水艦で見に行くという観光ツアーでした。そのツアーに参加した人々は一人も助からなかったようです。潜水艦の破片の一部が見つかったというところまではニュースで聞きました。
 人間が普通に行くことが出来ない場所に行こうとする人間の探究心、好奇心というものが結集し、科学技術の粋を集めて作られたであろう その潜水艇に何か欠陥があったのか、人為的なものなのか、正確な調査報告は出ていませんが、水深3800メートル(富士山とほぼ同じ!)という深さです。あとで知ったのですが、一般的には潜水艇の潜れる水深は5~600メートルが限度とされているようです。
 無謀な観光ツアーであったのではないかということが言われ始めているようです。深海観光で利益を上げるというビジネス、人の命よりもお金、こんなビジネスがあっていいのでしょうかという思いが沸いてきました。8日間のツアーで一人3500万円だそうです。亡くなった方はお気の毒と思いますが、沈んだ船を見にいって、沈んでしまった、という皮肉な結果となってしまったわけです。

 自然の摂理にあらがった無謀な行為、そして命に対する尊厳の欠如と言うふうに思えてなりません。現代の行き過ぎた物質偏重の象徴とも言える事故ではなかったかと、
とても残念な思いがしました。コロンビアの子供たちの助かった命と潜水艦の助からなかった命、命の捉え方とその結果がとても対照的で印象に残りました。

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