コラム

書籍用紙

営業部

書籍用紙「書籍用紙」というのは文字通り書籍の本文を印刷するための紙です。当然、我々の稼業にとって非常に需要が高く、関係性の深いものです。主な製紙メーカーは各社とも幅広い銘柄を取り揃えています。
例をあげると日本製紙の「オペラ」ブランドや北越紀州の「クリームキンマリ」、王子製紙だと「OKミルクリーム」シリーズなどがその代表格でしょうか。
用紙の販売代理店や卸商、さらには出版社によっては自社の特注品(「特抄き」「特寸」)や特定の銘柄を指定して契約するオリジナル(プライベート・ブランド)をもっています。

紙としての分類は上質紙などと同じ非塗工紙ですが一番の特徴はその色です。メーカーによって僅かな違いはありますが、どの書籍用紙も上質紙と比べるとクリーム色(銘柄によっては淡いオレンジやピンク)をしています。
これは長時間文字を読むときに白い紙より目が疲れにくいからです。これを可読性が高いといいます。
価格は「上質」に比べて割高で、アート紙より高価なものもあります。

さらに、もともと活版印刷向けに開発された経緯もあり、インクの着肉性を上げたり、不透明度を出すために薬品が含有されており、そのため紙の腰はやや弱い(やわらかい)感じがします。良く言えば「しなやか」です。

また、少ないページ数でも本の束幅(ボリューム)を出すために、いわゆる「嵩高(かさだか)」や「ラフ」を謳う銘柄も数多くあります。紙厚を具体的数値で比較すると「旧来は90~110ミクロン」程度だったものが「今では120~130ミクロン」が主流。「状況によっては150~180ミクロン」を選択することもあります。最近では特にこの傾向が強くなっています。

ところで書籍用紙とよく似た紙でクリーム上質というものがあります。
こちらは書籍用紙とは厳密に言うと似て非なるもので、基本的には上質紙をクリーム色の染料で染めただけの紙のことです。
当然、質的には上質紙の特性を持つため、書籍用紙に比べると紙の腰も強く、裏抜けしやすいのですが見た目には書籍用紙と見分けがつかず価格もやや安価なためこちらの紙も広くでまわっています。

以上をふまえて具体的銘柄をもとに整理してみます。
実は先にあげた「クリームキンマリ」は書籍用紙ではなくクリーム上質です。他に「琥珀やラフクリーム琥珀」、三菱製紙「クリームエレガ」などもこの類です。
狭義に書籍用紙と呼べるのは日本製紙「オペラ」、北越「メヌエット」、王子「OKミルクリーム」等です。

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