コラム

『ジェロントロジー宣言を読んで』 ―知の再武装で100歳人生を生き抜く―

代表取締役 萩原 誠

181009 最近読んだ本で特に感銘を受けたのが、寺島実郎さんの「ジェロントロジー宣言」です。
 ご存知の方も多いと思いますが、寺島実郎さんは日曜日の朝のTBSテレビ「サンデーモーニング」のメンバーで著書も多数あり、またその見識の広さには心から敬服しております。私は寺島さんの主催する勉強会「寺島文庫」に今年から参加しています。
その彼の最新刊が「ジェロントロジー宣言」です。現代の100歳人生の時代を「知の再武装」で生き抜くという内容です。読み進めて行くと、たとえ年をとってもしっかり勉強しなさいとエールを送られている思いを強く感じました。
 この中で知能の進化(深化)について論じられています。人間の知能には「流動性知能」と「結晶性知能」がある。「流動性知能」は新しいものを学習する能力や記憶する能力を意味し、加齢とともに劣化する傾向がある。一方で「結晶性知能」は、習得した知識や経験を結びつけて日常の生活状況に対処する能力を意味し、個人差はあるが、むしろ年齢とともに向上する傾向があることが指摘されている、とのことでした。さらに寺島氏は人間の能力に関し、「結晶性知能」を超えて、深く心の内面を見つめ練磨することによって、第3の知能である「唯識論的知能」が存在すると考えているとのことでした。この「唯識論的知能」とは、利己愛を超えた利他愛、おもいやり、慈悲の心などです。それは釈迦が老いを含む人生の苦しみに向き合いつつ克服した心の安らぎとも言える境地である。これは人間の生き方についての揺ぎ無き温かさや徳のようなものである。知能を超えた美意識、利害打算を超えた人間社会の道標を、老人は体現しなければならない。高齢者の心の構えがこれからの高齢化社会の質を決めると思われるのである、と締めくくっていました。
 まだ自分は高齢者ではありませんが、100歳人生の時代にあって、意識して学び直し、21世紀の世界に対する視界を広げ、会社の発展のために「知の再武装」を身に付けて行きたいと思います。

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