コラム

朝ドラに思う

総務部

 前々回の営業部のコラムにも登場しましたが、NHKの朝ドラ「ととねえちゃん」について、私も書いてみたいと思います。

 このドラマで発行している「あなたの暮らし」、実際には「暮らしの手帖」という雑誌ですが、三十数年前にあるかたに結婚祝いとして一年間届けていただいたことがありました。当時も(今も)、堅実に賢く生きようとする女性の味方、という雰囲気がそのまま続いていました。まだ、かなり(!?)若かったこともあり、商品検査の追求の仕方などが私には少しレベルの高いことが書いてあった、という印象でした。いい雑誌とは思いましたが、ついていけなかった!というのが実際のところでした。

 バブルもはじけ、景気の行き先も不透明なこの時代に、この雑誌の創業者である大橋鎭子さん(高畑充希)が注目を浴びていることは、自然のことのように感じます。よくぞ続いてくれていた!この年になってやっとその良さが分かった次第です。

 ドラマの中ではアカバネ電気という会社の社長(古田新太さんが、あまちゃんの時のプロデューサー役の時もそうでしたが、独自の世界を作っています!)が、横やりを入れて、主人公の小橋常子を窮地に陥れているところですが、今後の展開が楽しみです。こういう悪役がいい人に変身していくのが、ストーリーの常道ですが、そうならないでほしいと思っているのは私だけではないでしょうね。

 しかし、真面目に考えてみますと、戦後の混乱期は自社の利益だけを考えた会社が乱立していた時代だった様子がうかがえます。よりよいものを世の中に送り出すという理念が欠けており、遅かれ早かれ会社の存続問題に発展するのは明らかのことです。こういった時代を経て、日本の物作りの精神が次第に熟成されてきたのでしょうね。暮らしの手帖はそんな時代に一石を投じる役割を果たしていたことがよく分かります。

 先週の横やりの一つに私たちにも身につまされるようなことがありました。印刷所に原稿に訂正があるので、それまでにできているゲラの原版はボツという嘘の知らせに、その印刷所の社長が原版を破棄してしまったのです。発売日はもう間近というところで、編集長の花山(唐沢寿明)が徹夜で原稿を書き直し、発売に間に合わせたという場面です。今はだいぶ少なくなりましたが、徹夜で間に合わせるということも出版・印刷界では当時から日常茶飯事でした。
 しっかりとした編集方針のもと、本づくりに命を掛ける主人公たちの様子に、出版・印刷業界に身を置く私たちも、仕事に対する姿勢を改めて問われたところもあります。
 何れにしても、残り数週間、最後まで楽しみたいと思います!
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